2017/11/11

Goldberg Variation BWV988(Clavierubung IV), Wilhelm Kempff, MG2210


Goldberg Variation BWV988(Clavierubung IV)
Wilhelm Kempff
Deutsche Grammophon, MG2210, 1969

初めてケンプのバッハを聞いた。ここまで優しさに溢れた演奏はない。冒頭のアリアはでは、装飾が除かれ、すっきりとしたものとなっている。これまで聞いてきたゴルドベルグ変奏曲とは、全く異なった曲の印象を与えている。リヒターの厳格さではなく、グールドの孤独ではなく。バッハの音楽を、おそらくは現代的なやり方で蘇らせた一枚と思う。チェンバロではなく、ピアノで弾くことの意義が見いだせる。チェンバロは、ゴルドベルグ変奏曲を一種のカテドラルのような構造物のごとく宇宙を奏でるが、ケンプのピアノはヒューマニズムを語る。ぼくはヒューマニズムが嫌いだけど、こんなヒューマニズムならいいなと思う。

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